《 命が助かった 》 課長は自分の席に戻り、しばらく応接室に戻って来ない。窓から見える景色はたそがれ時であり、行員は課長のほかはすべて帰ってしまったようだった。 やがて課長がきて 『まいりましたな。お話ししたとおりに災害融資はできません。ご理解いただいていますよね』 『はい、理解はしておりますが納得はしておりません』 『そこで、お話があります。あなたの熱意にほだされました、災害融資は規則によりお出しできませんが、普通融資をして差し上げましょう。災害融資は無利息で十年返還ですが、普通融資は、利息が必要で、五年返還です。それでよろしいですか』 『ありがとうございます。恩に着ます』 この時の課長さん…