国文学者、慶應義塾大学斯道文庫教授。1962年2月山口県生まれ。慶應義塾大学文学部国文科卒、1990年同大学院博士課程中退、国文学研究資料館助手、96年慶大斯道文庫助手、2000年同専任講師、03年助教授、07年准教授、10年教授。95年日本古典文学会賞受賞、2017年『日本古典書誌学論』で角川源義賞受賞。
先日に届いた岩波「図書」に「日本書物史ノート」という新連載が始まりまし た。一回目のタイトルは「写本と版本で織り成す和本の歴史」とあり、著者は 佐々木孝浩さんとなります。 当方は、この世界にはまるで明るくなしで、これまで読んだりしたのも岩波 「図書」に連載されていた中野三敏さんのものくらいでありました。中野さんが 亡くなって3年ほどになりますが、やっとこのような連載を目にすることができ るようになりましたか。 今回の佐々木さんの連載初回の書き出しでは、次のように読者を掴んできます。 「みなさん本はお好きですか?『図書』の読者の方にする質問ではありませんよ ね。でも『好き』とお答えになった方は、…
本リストは、私、長尾が2023年度に「日本研究概論」という授業で学生に紹介した文献リストの一部を公開するものです。聴講者は1、2年生向けの入門講義でした。 講義としては、日本研究の来歴を振り返り、近代日本の文化を今日的な視点から研究する際の論点をトピックごとに論じるというものでした。学際的で多岐にわたる領域の話なので、何かしら気になったところから読書が広がっていけばいいなと思い、まだまだ不十分ですが、提示します。 ※各論については省略します。 日本学/日本研究の方法 日本文化論・日本人論 外から見た日本 日本研究を支える人と資料 日本学/日本研究の方法 西川長夫『国境の越え方』増補版(2001…
源実朝は、1898年正岡子規の『歌よみに与ふる書』をはじめとする近代のアララギ派による称揚による注目以降、生誕や没後の節目ごとに記念の年として様々な催しが行われてきました。たとえば主だったものでは以下の年があります。 ・大正8年(1919年):没後七百年記念 ・昭和17年(1942年)生誕七百五十年記念 ・平成4年(1992年): 生誕七百年記念 ・平成31年(2019年): 没後八百年記念 今回は、今まであまり注目されることのなかった、大正8年の没後七百年関連のイベントを取り上げたいと思います。第一回は鶴岡八幡宮の白旗宮で開催された『源実朝公七百年祭』です。 実施の背景・サマリー ・鎌倉の好…
中世文学会春季大会シンポジウム「デジタル時代の本文校合」に、オンラインで参加しました。司会は書誌学の佐々木孝浩さん、パネラーは『曽我物語』が専門の小井土守敏さん、和漢比較文学が専門の山田尚子さん、それに金沢文庫学芸員貫井裕恵さんの3人。 やっと入構制限が解け、大学図書館が使えるようになったのに、参考図書の棚が殆ど空になっていて愕然としたのは半年前です。索引、辞書の類はオンライン利用になったらしい。ここ2年くらいで急速にデジタル化、オンライン利用が進んだようです。 有意義なシンポでした。パネラーの人選がよかったと思います。異なる視点からの話を聞くことができました。最近『曽我物語』流布本の本文と注…