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裁判官分限法

(社会)
さいばんかんぶんげんほう

裁判官分限法とは、日本国憲法で保護された身分である裁判官に対し処罰を与えるための法律である。

条文

第一条 (免官)  裁判官は、回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合及び本人が免官を願い出た場合には、日本国憲法 の定めるところによりその官の任命を行う権限を有するものにおいてこれを免ずることができる。
○2  前項の願出は、最高裁判所を経てこれをしなければならない。

第二条 (懲戒)  裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする。

第三条 (裁判権)  各高等裁判所は、その管轄区域内の地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の裁判官に係る第一条第一項の裁判及び前条の懲戒に関する事件(以下分限事件という。)について裁判権を有する。
○2  最高裁判所は、左の事件について裁判権を有する。
一  第一審且つ終審として、最高裁判所及び各高等裁判所の裁判官に係る分限事件
二  終審として、高等裁判所が前項の裁判権に基いてした裁判に対する抗告事件

第四条 (合議体)  分限事件は、高等裁判所においては、五人の裁判官の合議体で、最高裁判所においては、大法廷で、これを取り扱う。

第五条 (管轄)  分限事件の管轄裁判所は、第六条の申立の時を標準としてこれを定める。

第六条 (事件の開始)  分限事件の裁判手続は、裁判所法第八十条 の規定により当該裁判官に対して監督権を行う裁判所の申立により、これを開始する。

第七条 (裁判)  第一条第一項の裁判又は第二条の懲戒の裁判をするには、その原因たる事実及び証拠によりこれを認めた理由を示さなければならない。
○2  裁判所は、前項の裁判をする前に当該裁判官の陳述を聴かなければならない。

第八条 (抗告)  高等裁判所が分限事件についてした裁判に対しては、最高裁判所の定めるところにより抗告をすることができる。抗告裁判所の裁判については、前条の規定を準用する。

第九条 (手続の費用)  分限事件の手続の費用は、国庫の負担とする。

第十条 (手続の中止)  分限事件の裁判手続は、当該裁判官について刑事又は弾劾の裁判事件が係属する間は、これを中止することができる。

第十一条 (裁判手続)  分限事件の裁判手続は、この法律に特別の定のあるものを除いて、最高裁判所の定めるところによる。

第十二条 (裁判の通知)  第一条第一項の裁判が確定したときは、最高裁判所は、その旨を内閣に通知しなければならない。

第十三条 (過料の裁判の執行)  懲戒による過料の裁判の執行については、非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)第百二十一条 の規定を準用する。 
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO127.html

裁判官分限法と裁判官の分限事件手続規則について

裁判官分限法は法律であるが、この法律に関係して最高裁判所規則である裁判官の分限事件手続規則というものがある。
これは最高裁判所規則であるが、インターネット上の最高裁判所規則集(http://www.courts.go.jp/kisokusyu/)に載っていない。*1
しかしながら問題な事に、この規則第7条において法第13条と食い違う形の内容が書かれており*2、法を裁く最高機関である最高裁判所が法の趣旨を捻じ曲げていると思しきものになっている。

*1:2015年後半より裁判所|その他(50音順)内で掲載

*2:法では非訟事件となるのは「懲戒による科料の裁判の執行」のみだが、規則では裁判官の分限事件全てが非訟事件になる事になってしまっている。非訟事件では裁判記録の閲覧が原則として不可能であるため、裁判官に対する戒告がどの様な経緯により行われる事になったかの確認が不可能になっている。なおこの最高裁判所規則官報には載っているもののこれをインターネット上で広く確認出来る手段は存在しない。

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