オムニバスが盛んな頃、鹿児島のバスガイドが車中披露する歌は「南国情話」と「茶わん虫の歌」が定番だった。 「南国情話は、若山彰と熊沢佳子のジュエット曲で、こまどり姉妹も歌った。「岬の風に泣いて散る」という出だしで、ヒットしていた。これに対して「茶わん虫の歌」は、鹿児島だけの地域限定、しかし鹿児島では誰もが知っているというような歌だった。それが、10年位前にNHKのEテレ「にほんごであそぼ」で放送され、全国的にも多くの人に知られるようになった。 「茶わん虫の歌」が生まれたのは、約100年前の大正10年(1921年)、西国分村立(現在の霧島市立)宮内小学校で教職に就いていた石黒ひで先生が学芸会での劇…