本探索1495で、湯川弘文社の「新詩叢書」に城左門の『秋風秘抄』が収録されていることを挙げておいた。 私などの戦後世代にとって、詩人の城左門は馴染が薄く、「若さま侍捕物帖」シリーズの作者としての城昌幸のほうに親しんできた。それは昭和三十年代の東映時代劇全盛時の大川橋蔵主演「若さま侍捕物帖」シリーズをよく観ていたからだし、性懲りもなくその一作である長編『月光の門』(講談社ロマン・ブックス)を拾い、つい読んでしまったばかりだ。 それからしばらくして、初めて城左門詩集『終の栖』を見つけたのである。和本仕立ての帙入りの一冊で、定価は二円八十銭、昭和十七年に京都市左京区のウスヰ書房か刊行され、ちょうど湯…