高橋是清邸に惹かれてやって来た。 江戸東京たてもの園、都立小金井公園の一角を占める野外博物館である。 その名の通り、十七世紀――江戸時代からこっちにかけて四百年、関東平野に築造されたあれやこれや(・・・・・・)の建物を、集めて維持して展示して、文化的価値を守護(まも)り且つまた発信にも努める施設。概要としてはこんなところでいいだろう。 蒼一色の空の下、堪能させていただいた。 適当に紹介していこう。 さても立派な門構えの向こう側にたたずむは、三井家11代当主、三井八郎右衛門高公氏の御宅。 和洋折衷の邸内に、 五三の桐や、 三つ葉葵の長持ちが、さも当然な顔つきで腰を下ろしているのを見ると、流石は天…