まもなく、陰謀の一味の面々、 近江中将入道蓮浄、法勝寺執行俊寛僧都、山城守基兼、 式部大輔雅綱、平判官康頼、宗判官信房、新平判官資行らが、 続々と捕えられて、西八条に連行されてきた。 一味うたるの報に、 西光法師は、もちろん、陰謀のばれた事を覚ると、 馬に鞭をあて、矢庭に院の御所へ急いだ。 しかし、それも道を固める平家の侍達に、 たちまち捕ってしまった。 「西八条のお召しじゃ、早く参れ」 と西光の囲りを取り囲むと、 この時に及んでも大胆な西光は、 「どうしても申上げねばならぬことがあって院の御所に行くところだ、 帰りに西八条に寄るからそのように申せ」 と人を喰ったことを言う。 「何と不敵な男だ…