エミリーは昆虫の標本のあいだで三本のにんじんのスティックを食べながら、キチン質の昆虫の表皮を愛でた。キチンは哺乳類の生理機能にはなかった。もっとも、人の死後、まだ腐敗が始まらないうちに皮膚が革のように硬くなり——それがキチン状と呼ばれる——その硬さはある甲虫に似ているということを本で読んだ。その甲虫は腐敗していく仲間の死骸を食べながら脱糞し、死骸を堆肥に変えていく。虫の糞の使い道はたくさんあった。もっとも喜ばしいものはマナだ。エミリーは、イスラエルの民を砂漠へと率いていくモーゼの物語が好きだった。昆虫たちが彼らを救いにやってくる。もちろんマナは、「出エジプト記」によれば、大地の恵みの霜で、蜜の…