『土田杏村全集』第十五巻所収の四十四年という短い「土田杏村年譜」をたどってみると、昭和二年に入って、『日本児童文庫』に関する言及を見出せる。それを順に追ってみる。 (『日本児童文庫』) 二月/アルス『児童文庫』の案を立てる。 三月/この頃『児童文庫』に関する用事多し。 五月/『児童文庫』の少年少女大会岡崎公会堂で開催。講師白秋氏、未明氏、草平氏。 八月/『源平盛衰記物語』(アルス児童文庫の一冊)執筆にかかる。 九月/『盛衰記』七月に書き終る。本文四百二十三枚。巻末文十四枚。 十一月/児童文庫の『源平盛衰記物語』出来。 これを読んで、あらためて杏村も『児童文庫』の著者の一人であり、彼の昭和二年の…