『夏休みの拡大図』小島達矢(双葉文庫) 印象的なタイトルは、登場人物の一人であるちとせの一言「夏休みって人生の縮図だと思うんだ」(p.185)と、それに対する語り手・百合香のアンサー「だって夏休みが終わったらさ、二学期が始まるじゃない」(p.279)に由来します。夏休みが人生の縮図なら、人生は夏休みの拡大図だというわけです。 高校卒業と就職を機に引っ越すことになったちとせ。翌朝には引っ越すというのにまだ部屋の整理も済んでいません。幼なじみの百合香は夜中に引っ越しの準備を手伝いに来たのですが、「ちょっとした借りがある」ため「(ちとせの)頼みごとは一切断らない」「奇人変人木嶋くん」まで手伝いに来る…