稲垣足穂の各社文庫の収録作を紹介 稲垣足穂と言えば、『一千一秒物語』でおなじみ大正から昭和初期の文学者、天体と飛行と無機物に憧れるモダニスト、横光利一や初期の川端康成と並ぶ新感覚派の一員、「A感覚とV感覚」を発表した独自のエロティシズムの研究者──などなど、みなさんもお好きに違いない近代日本文学の巨匠ですよね。 とはいえ、なんとなく巨匠っぽくないというか、いわゆる「文学」の本流からは外れた感じがあるのもまた魅力です。 いま足穂を読んでみようかなとなった場合、まずはやっぱり新潮文庫から出ている作品集『一千一秒物語』を手に取る方が多いのではないかと思うのですが、さてその次の一冊というと、何を買えば…