怖かった。怖かったし、美しくてカッコよかった。事前に「ホラー」と聞いていたけれど、得体のしれない怖さというより、ものすごく生々しく実体と手触りのある、そして(舞台は過去の時代だけれど)今と地続きの怖さ。あからさまに邪悪な人間はひとりも出てこないのに(だからこそ)、内側から生まれるものに浸食されるような、止めようのない怖さ。 私はナイロンの古いファンではなく、とはいっても数えてみたら2012年の38th SESSION『百年の秘密』からの本公演はすべて観ているので(そのはるか前2003年にも『ドント・トラスト・オーバー30』と『ハルディン・ホテル』だけ観ているけど)、なんやかやで30年のうち10…