「ほう? じゃ、きみは、プロレスのあれを何だと言うのかね。まさか、きみは、このわたしに、プロレスが何であるかを教えてくれようとしているのかな。わたしは、きみが、鼻たれのガキの時分から、空手もプロレスもやっていた男だよ。そのわたしに、きみはプロレスの講義をしようというんじゃないだろうね」 「──」 「わたしは、プロレスのあれを八百長とは言ったが、舐めてると言った覚えはないよ。プロレスの恐さは、わたしはよく承知しているさ。そこらの寸止めの空手家などよりもずっとね」松尾象山餓狼伝 : III (双葉文庫)作者:夢枕獏双葉社Amazon この前、時間が無くて過去記事紹介でつないだ、「プロレス芸」とその…