◉地べたに座り込んで話をした村上光照師との出会いは、37年前になる。当初お会いしたときは、新宿南公園であった。ふと通りかかると、そこに二人の禅僧がいた。地べたに座り込んで、噴水の水道水を飲みながら、フランスパンをかじってていた。僧侶たちのそばには、カーキ色の大きなリュックが置いてあった。上座仏教修道会を主宰していた竹田さんから、リュックを背負って全国を行脚している村上光照さんという立派なお坊さんがいると聞いていたので、──もしや、この方が? と思って声をかけた。「村上さんですか?」その禅僧はニコっとした。人なつこい笑顔がかえってきた。「はいー、村上ですぅ〜」。なんともなつかしいような声。穏やか…