根本はるみ「「人からみる」大名家」『本郷』(吉川弘文館)166、pp.5-7、2023*1 曰く、 (前略)大藩・雄藩と思われる萩藩毛利家も官位という点から見れば、金沢藩前田家はもちろんのころ、仙台藩伊達家や鹿児島藩島津家には及ばなかった。むしろ、萩藩毛利家は近世初期の逸話から米沢藩上杉家や熊本藩細川家をライバルとして常に意識し、彼らの官位昇進には敏感に反応した。(略)八代藩主治親(世子時代は治元)は家督相続前に侍従に昇進した。これ自体萩藩毛利家にとっても慶事ではあるが、治親の正室節姫の実家である田安家の協力を得てまで治親の昇進を急いだ背景には、他大名家に対する強い対抗意識が存在していた。この…