この星で生きる理由 過去は新しく、未来はなつかしく/佐治晴夫 アノニマ・スタジオ 読書癖1/池澤夏樹 みすず書房 天文学と聞いて思い出すのは、大学で学びを放棄したこと。一般教養の授業であった「天文学」を、なんとなく興味があるからと受講したのだけれど、ほとんど頭に入ることがなかった。卒業して17年ほど経つ今、履修したかどうかも疑わしいほど記憶に残っていない状態であることに、唖然としている。 池澤夏樹「読書癖」に、「天文は楽し」というエッセイが収録されている。宇宙電波観測所所長の森本雅樹さんが愉快に話すテレビを観て感銘を受けた、というものだ。「論文は書けても、一般の人が読む優れた啓蒙書を作るのは、…