神川丸型

あらまし

　川崎汽船がニューヨーク航路に配船を予定して建造した高速貨物船で、4隻の頭文字を併せると「神聖君國」の成語となるように命名された。神川丸は竣工後まもなく徴用を受け、支那事変に参加後一旦解傭となったが、昭和14年再徴用されて、続く3隻も全て特設水上機母艦となった。姉妹船全部がすべて同じ艦種に改造されたのは極めて珍しい。
　本型をはじめ、太平洋戦争時の特設水上機母艦は射出機1基を後部に装備し、洋上作戦能力を若干高めているが、全部に搭載した機体を後部に移動する事は出来ず、依然として離水も必要であった。各艦とも大戦初期の進攻作戦で目覚しい活躍を見せたが、制空権の喪失に伴って活動の場を失い、神川丸を除く3隻は逐次特設運送船に役務を変更した。

要目（2度目の水上機母艦への改造完成時の神川丸）

・総トン数：6,853t
・水線長：146.16m
・最大幅：19.0m
・満載喫水：8.23m
・主機：川崎マン式ディーゼル1基1軸
・出力：7,500HP
・速力：19.5knt
・兵装：45口径15サンチ単装2基
　　　　13ミリ単装機銃2基
　　　　射出機1基
・搭載機：12機

略歴

• 神川丸 Kamikawa Maru

元川崎汽船所属
昭和12年3月15日：川崎造船所にて竣工
昭和12年9月17日：徴用
昭和12年9月18日：特設軍艦に編入、特設水上機母艦に類別
昭和13年12月5日：特設運送船に編入
昭和14年11月15日：特設軍艦に再編入、特設水上機母艦に類別
昭和18年5月28日：カビエン北方にて米潜の雷撃を受け沈没
昭和18年7月15日：解傭

• 聖川丸 Kiyokawa Maru

元川崎汽船所属
昭和12年5月15日：川崎造船所にて竣工
昭和16年9月28日：徴用
昭和16年10月5日：特設運送船から特設軍艦に編入、特設水上機母艦に類別
昭和17年12月1日：特設運送船に役務変更
昭和18年4月1日：特設軍艦に再編入、特設水上機母艦に類別
昭和18年10月1日：特設運送船に編入
昭和20年11月30日：解傭

• 君川丸 Kimikawa Maru

元川崎汽船所属
昭和12年7月15日：川崎造船所にて竣工
昭和16年7月：呉工廠にて改造
昭和16年7月6日：徴用
昭和16年7月25日：特設軍艦に編入、特設水上機母艦に類別
昭和18年10月1日：特設運送船に役務変更
昭和19年10月23日：ルソン島西方にて米潜の雷撃を受け沈没
昭和19年12月10日：解傭

• 國川丸 Kunikawa Maru

元川崎汽船所属
昭和12年11月1日：川崎造船所にて竣工
昭和16年7月：呉工廠にて改造
昭和16年7月14日：特設運送船から特設軍艦に編入、特設水上機母艦に類別
昭和18年10月1日：特設運送船に役務変更
昭和20年5月1日：バリックパパン沖にて米軍機の爆撃を受け沈没
昭和20年11月30日：解傭