神様がくれた背番号

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神様がくれた背番号

かみさまがくれたせばんごう
神様がくれた背番号

神様がくれた背番号

2010年刊行の阪神タイガース小説。

大阪のシンボル、通天閣たもとの天王寺公園に、ケンちゃんというホームレスがいた。ひどい吃音だったケンちゃんの言葉は、誰にも聞きとることができず、それでずっと苦しんできたのだけど、彼の言葉を聞きとれる親友がようやくケンちゃんの前に現れたのである。それが歳の差離れたタケシという少年。

彼は身体が弱いことからクラスメイトから仲間はずれにされていて、タケシは優しくて不器用なケンちゃんのことを何より大切な友達だと思っていた。ある日の夜、ケンちゃんが夢の中で、変な姿の神様と出会うところから物語は始まる。ケンちゃんが、総理ゴリさん、アンちゃん、バルやんという個性的なホームレス仲間たちの後押しを受けて、プロ野球選手になり大活躍する姿をぜひ本作にて触れていただきたい。

本作は松浦儀実のデビュー作である。しかし新人のような気負いを感じさせることはなく、練達者のような筆致で、大阪の街並と魅力的なキャラクターたちを鮮やかに描き出していている。きっとあなたは六甲颪を唄う場面で涙し、または試合前の甲子園スタジアムの緊張感に心は押しつぶされ、はたまたヒーローインタビューでのケンちゃんの雄叫びに心を震わせるに違いない。『物語』とは、こういうものなのだと思う。

私たち一人一人がどこかに置き忘れてしまった物語が、まざまざと思い出されるのである。

この作品は、どんな逆境でも人間は支え合い、希望を持ち、強くなれることを教えてくれるはずだ。作者の放つユーモアは、直球のメッセージで打ち取るための変化球のようで、多彩な作者の技に翻弄されるはずだ。

さて、本書はむろん阪神タイガースファンにお勧めするものだ。まったくのフィクションであるが現実のストーリー以上の迫真性を持っている。金本や藤本等の雄叫びは、今ペナントレースを激走する選手たちとダブりながら脳裏に刻まれていく。スコアブックに決して載ることのないこのストーリーは、きっと阪神タイガースファン達によってずっとずっと語り継がれるに違いない。


出版社からのコメント

■試し読みされたい方は

物語の前半部分を星空文庫に掲載しておりますので、ご購入を検討されている方がいらっしゃいましたら検索「星空文庫+神様がくれた背番号」で移動して作品をご確認ください。