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星一号作戦

アニメ

星一号作戦

ほしいちごうさくせん

[英] Operation Star One

星一号作戦とは、アニメ機動戦士ガンダム」の話中に登場する、一年戦争時の地球連邦軍の作戦名の一。

広義には、UC0079年12月に行われた連邦宇宙軍の統合反攻作戦を示す。狭義には戦争最末期の、ジオン軍最終防衛拠点の宇宙要塞ア・バオア・クーの攻略作戦名として用いられる。

開始まで

地球連邦ジオン公国の国力差は実に三十対一にも及ぶ。国力の劣るジオン側にとって勝利を獲得する絶対条件は短期決戦であり、奇襲効果によって戦力差を覆すよりない。

つまり、連邦側から言うと、ブリティッシュ作戦の(一応の)阻止に成功し、「降伏にも等しい」休戦条約?の締結をレビル将軍脱出という事件によって食い止めた時点で、軍事的・心理的な奇襲効果を克服したと言える。連邦としては、あとはがっぷり四つに組んで横綱相撲に持ち込み、「しかるべき頃合い」まで待ってから一気に寄り切ればいいだけとなった。

無論、いち早くモビルスーツ実用化に成功したジオン軍は容易ならざる強敵であり、戦争初期に失われた戦力を回復するまでは横綱相撲も何もあったものではない。だが、ジオン軍が長期戦遂行のための資源確保を目的として地球侵攻作戦を行ったことで、連邦にはその戦力回復の時間が与えられた。ジオンの戦力の大半が、地上の占領地に張り付けられる結果となったからである。

機動力を失った軍は防御側にとっては存在しないも同然である。かくて連邦はV作戦やビンソン計画を着々と遂行、ついに十分な四つ相撲?を取るだけの力を得たのである。あとは、いかにして戦争を終わらせるか、だけが問題となった。

常識的には、ジオン本国の叩いて戦争終結を優先するか、地球の完全奪回を優先するかの二つの案が考えられる。実際に採用されたのは前者である*1。どれだけ他所に戦力が残存していようと、ジオン本国を制圧してしまえば戦争は終わるのだ*2。唯一の懸念材料は、地上のジオン兵力による反撃だったが、これも11月30日に行われたジャブロー攻撃という形でジオンが自ら戦力をすりつぶしてしまったことで、自ずと解消された。

12月2日、まず第13独立部隊を筆頭とする囮部隊群がジャブローから放たれた。これを露払いとして、ビンソン計画によって再建された連邦軍宇宙艦隊の主力が一気に宇宙に上がる。集結した連邦軍ルナツーから全力で出撃した。星一号作戦の開始である。

ソロモン

決戦とは、双方の思惑が一致しない限り発生しない。

ティアンム提督率いる連邦第二連合艦隊ジオン軍防衛拠点、宇宙要塞ソロモンを目指していた(チェンバロ作戦)。ジオン艦隊を無力化せずしてサイド3本国を攻撃することはできないからである。

ジオン側も戦力を結集して*3これに対する迎撃態勢を整えていた。連邦艦隊を叩かねば、彼らはこの戦争を失うのである。ここにルウム戦役以来の大規模宇宙戦闘の舞台は整った。

この時点で、ミノフスキー粒子モビルスーツ等からもたらされていたジオン側の軍事技術的な優位はほぼ失われていた。無論それらを運用する戦術面での一日の長がジオン側にあったのは事実だが、それはあくまでも戦術レベルの話であって、根本的な戦力差を覆す力はない。

ジオン側の防衛計画もこのことを理解しており、彼らはソロモンという要塞に拠ることで戦力の劣勢をカバーしようとしていた。

連邦側はさらにそのことを理解し、対要塞用のいくつかの新兵器を準備することで対応していた。彼らはレビル将軍率いる第一連合艦隊を丸ごと予備兵力として後置するだけの余裕すらあったが、だからといって手を抜くつもりなどはなかった。すでに戦略的なイニシアチブは連邦の物となっており、戦争の政治的決着*4から軍事的決着*5まで、ほぼすべてのオプションに対応可能といってよい状態だった。

このような状況下で12月24日に開始されたソロモン攻略作戦は、概ね連邦側の思惑通りに展開した。連邦ティアンム提督を含む侵攻艦隊の司令部をジオンの反撃で失うなどの損害を出したものの、ソロモンを制圧してジオン軍の宇宙攻撃軍を壊滅させることに成功した。

常識的には戦争の時間は終わって、政治の時間が訪れるべき頃合いであった。ジオンは「決戦」に敗れたのだ。

ジオン側には、あとは本国の最終防衛戦であるア・バオア・クーしか残っていない。全力を投じたソロモンで敗北した以上、ア・バオア・クーで勝てる見込みは極めて低い*6ソロモン連邦が消耗していれば話は違っていたかもしれないが、現実には連邦第一連合艦隊(侵攻艦隊主力)は、そもそもソロモン戦では予備として拘置され戦っていない。

つまり停戦を先延ばしにしてア・バオア・クー失陥後に停戦交渉を行おうとしても、ジオン側の立場を悪化させるだけである。無防備なサイド3本国が連邦軍の前にさらけ出される状況になれば、ジオン側の交渉材料は皆無となる。ア・バオア・クーで戦うというのは無意味なはずだった。

ア・バオア・クー

予想に反し、ギレン・ザビ総統は戦争継続の強い意志を持っていた。

確かにこれ以上の戦争続行は、常識的に考えれば無意味だった。逆に言うと、「常識的に考えれば無意味」なので、この状況で戦争を止めることは連邦への無条件降伏を意味する。

つまりは停戦交渉は、「これ以上戦うとそちちの損害も大きくなるからこのあたりで手打ちにしよう」という文脈において、はじめて効力を持つものである。連邦が(ソロモンよりも弱体な)ア・バオア・クーを攻撃して大損害を被るとは、常識的には考えにくい。

つまり、ここで交渉を持ちかけても、連邦ジオン側に配慮した条件を提示する可能性はほとんどないということになる。連邦側からすれば、今すぐ無条件降伏させるか、あとで無条件降伏させるか、あるいは交渉せずにサイド3本国を完全占領してしまうか、という程度の違いしかないからである*7

そう。ソロモン戦に勝利した時点で、連邦は事実上戦争に勝利していたと言える*8。そしてギレン・ザビが以上のような状況を認識できていなかったとも判断しにくい。

ジオン側の戦争資源が枯渇している以上、今更戦局を逆転して連邦に城下の盟を強いることが不可能なのは明白である。が、例えば「連邦艦隊に打撃を与えて本国の失陥を防ぎ、連邦の継戦意欲を削いで政治的な解決を図る」というのであれば、巷間言われるほどに非現実的な戦略ではない*9

問題はそのための軍事的な裏付けの有無であった。ソロモンでの敗北はジオンから軍事上のリソースの過半を奪い取っていた。よって、常識的な手段で連邦を止めるのはほぼ不可能だった。ここで登場するのがソーラレイである。

モビルスーツミノフスキー粒子の大量使用(とコロニー落とし)という軍事上の大イノベーションで始まった戦争は、ふたたび新機軸の登場を迎えることになった。

U.C.0079 12月30日、ソーラレイ照射によって、連邦第一連合艦隊主力はレビル将軍を含む艦隊司令部もろとも消滅した。指揮系統が大混乱となる中、連邦の残存艦隊はア・バオア・クーを攻略するべく攻撃を開始する。

ジオン軍も奮戦するが、戦闘中ギレン・ザビが暗殺されることで指揮系統が混乱した結果、敗北した*10

*1:といっても、地上軍を宇宙に上げても仕事はないから、結局は地上のジオン軍に対する掃討作戦も行われているが。

*2地球優先の方針では、ジオン本土防衛体制のための時間を与えてしまうとも考えられる

*3ジオン軍が戦力温存を図っていたとの説もあるが、艦隊戦力の中核をなす宇宙攻撃軍を投じている以上は「決戦」を意図していたと見なすべきであろう。

*4:停戦交渉

*5ジオン本国の占領

*6:むしろ、連邦艦隊の行動を掣肘しうる唯一の存在、ジオン宇宙艦隊主力がソロモンで壊滅したことから、ア・バオア・クーを素通りしてサイド3に直接侵攻するオプションすら存在しうる。実際にレビル将軍は戦死直前にサイド3侵攻を命じていたとも言われる。何にせよ侵攻艦隊司令部が全滅して資料が失われているため、この点が十分解明されているとは言い難い

*7:現実問題として、振り上げた拳を降ろすだけの結末を連邦は必要としていた。「分かりやすい」条件でない限り、停戦は政府と軍の威信(と支持率)を低下させることにつながるからである

*8デギン・ザビによる停戦交渉にレビル将軍本人があっさり臨んでいるのも、つまりはジオンには降伏以外に選択肢が存在せず謀略の可能性を無視できたということである

*9:当時、連邦側の継戦能力も限界に達しつつあったと指摘する史料も存在する。ギレンもそのような情報に基づいて戦略立案を行っていたとするのが妥当であろう

*10:もっとも、指揮系統の混乱はお互い様であって、本来守る側のジオン軍の方が影響を受けにくかったとも言える。つまりはジオン側に残されていた戦力はその程度のものだったということなのだろう