旅先での一度目の温泉体験は、世界遺産の見える海岸にあった。 源泉は炭酸泉で体温より低いから沸かし湯だった。 二度目の温泉は日本一高い105度の源泉を誇る小浜温泉である。 ここは湯の湧出量も日本一と言われ、 海岸に面して立ち並ぶ建物の合間のあちこちに、 温泉街らしく白い湯けむりがもうもうと立っている。 真夏でなければどんなに良いかと悔やまれる。 温度にちなんで105mもある足湯には、 日帰り客らしい家族連れやカップルが、 青い海を眺めながら楽しそうに休んでいる。 しばらくすれば、遠くかすむ山並みの向こうに、 真っ赤な太陽がゆっくりと落ちていくのだ。 ここは西の海なのだ。 希望ある朝日も良いけれど…