田園都市線の二子玉川駅から徒歩10分ほどにある「報徳寺」。 山門の傍には手を後ろに組んで歌うおさげ髪の少女の石像があり、そこには「テネシー・ワルツ」の音符が刻まれている。 45年の生涯、この曲を歌い続けてきた江利チエミは今、この寺の奥にある墓地で静かに眠っている。 急死の第一報が消防本部に届いたのは昭和57年(1982)2月13日、午後3時。 彼女はこの日、午後4時10分の羽田発の飛行機で北海道へ向かうことになっていた。 ところが、女性マネージャーが自宅マンションへ迎えに行くが、一向に返事がない。 そこで合鍵を持つ従妹を呼んで部屋に入ると、赤いブラウス姿のまま、寝室で倒れていたのである。 シー…