職場に、私の”推し活”を知る人が、ただ一人いる。 ”Mさん”と呼ぶことにしよう。 私たちが、お互いの”推し”の話をするのは、仕事中、周りに他に誰もいない、ほんの偶然の短い合間にかぎられる。 この職場の責任者でもあるMさんは、決して手を休めることなく、もちろん私も何らかの作業をしつつ、それぞれ客に気を配りながら、だ。 ネットで仕入れた情報なんかを、こそっと耳打ちするように話しかけてくる。 昨日も、店内に背を向けた作業台で梱包作業中、横で別の作業をしてたMさんが、1歩距離を縮めて声をかけてきた。 「SNSで風さんがラジオ体操をジャズ風にアレンジしてたの聴きました。何年か前のANNとかのやつ。天才!…