芭蕉七泊八日の旅日記 元禄二年(一六八九)の 春、俳人、松尾芭蕉は、門人・河合曽良とともに、 江戸深川から、大垣まで 六百里(约二四〇〇キ口)に亘る「おくのほそ道」の 旅に出ました。 芭蕉四六歲、曾良四一歳のときです。 行程のほとんどが未知 の地であり、心許ない旅立ちでしたが、敬慕する 西行や宗祇、義経など先 人の跡を追い、己の俳諧を突き詰めてみたいとい う思いに突き動かされたのでした。 芭蕉は、みちのくの玄関口、白河の関を越え、途中、阿武隈川を渡り、磐梯山を仰ぎ見ながら、四月二十二日(陽曆六月九日) に須賀川に入り、かつてから親交のあった知人、 相楽等躬宅に草鞋をぬぎ、八日間滞在しました。 …