1929年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒、フランス文学者、文芸評論家。筑波大学教授を務め、その後杏林大学教授。天皇崇拝家で、現天皇の即位の当時、左翼に家を焼かれた。日本古典、キリスト教、中東問題等関心は幅広かった。『死の日本文学史』は代表作。1982年フランス政府よりパルム・アカデミック(学芸)勲章、オフィシェ級を贈られる。1987年、木戸孝允を描いた小説『醒めた炎』を中心とした業績により第35回菊池寛賞を受賞。1994年5月死去。女優村松英子は妹。
今朝もいつものユックリとした5キロのジョグ。 今日は昨日までと比べて少し気温が上がり、それだけでもありがたいですね。 毎朝、ジョグコースでお会いする方はほぼ一緒なのですが、2か月間、日本を離れて私の姿がなかったので、おそらく(毎日走っとったのに、市長を辞めたら走るの、やめたんか・・・)と思われてたのではないか、と(笑)。 意識的に、「おはようございます!」と挨拶をしております。 今日もひねもす、読みかけの10冊の本を読み進め。 何度も書いた通り、世界一周中の2か月間で読んだ本は、塩野七生さんの「コンスタンティノープルの陥落」1冊のみ。 コンスタンティノープルの陥落(新潮文庫) 作者:塩野 七生…
短い期間だったが、サン=テグジュペリに関心を抱いたことがある。といっても、大ブームに浮かされて『星の王子さま』に夢中になったわけではない。異様なまでの大空への憧れ、飛行機を偏愛する心の奥底を覗いてみたかったのだ。 西欧と南米とを往来する郵便飛行機の操縦士だった。志願してフランス空軍士官となったが、戦闘機や爆撃機への搭乗を拒み、偵察機による空撮勤務に従事した。いったん予備役に退いたが、第二次大戦で召集を受け、飛行教官の任務に就いた。 ドイツに占領されたヴィシー政権下では、アメリカへの亡命も経験した。そこから自由フランス軍の空軍部隊に志願して北アフリカ戦線で、ふたたび偵察機任務に就いた。年齢と視力…
●日本保守主義の原点は三宅雪嶺の国粋主義 日本の政治思想の原点を、明治の精神にもとめると、徳富蘇峰と三宅雪嶺の名が挙げられる。 中学生の近現代史の参考書には、この二人のほかに、幸徳秋水と高山樗牛、そして、鹿鳴館文化の井上馨の名が記されている。 徳富蘇峰は、平民主義を唱えて『国民之友』を刊行、三宅雪嶺は国粋主義を立てて『日本人(のちに日本及び日本人)』発行したとある。 この二人につづくのが、社会主義の幸徳秋水と日本主義の高山樗牛で、それぞれ『平民新聞』と『太陽』を出している。 徳富蘇峰と三宅雪嶺、幸徳秋水と高山樗牛が、新聞や雑誌で啓蒙運動をおこなって、ヨーロッパ化をおしすすめる長州閥や薩摩閥に対…
以下は今日の産経新聞「正論」に掲載された、杏林大学名誉教授田久保忠衛氏の論文からである。日本国民のみならず世界中の人たちが必読。見出し以外の黒字強調は私。国家観なき「怪物」に果敢に挑む英労働党を中心とした各国社会主義思想を研究されていた関嘉彦氏(東京都立大学名誉教授。元民社党参院議員)が、しみじみと 「僕は生きているうちに共産主義の崩壊が目撃できるとは思わなかった」と語っておられたのをときどき思い出す。 日本の特殊な言論空間 戦後の一時期、日本社会を覆っていた特殊な言論状況があって、その中に国家観を喪失した雑多な知識人がうごめいていた。「正論50年」の成果は、その人たちが醸し出していた不快な臭…
昭和史に残る政治と事件の舞台裏/「山本峯章ノート」から 実録・戦後日本と昭和政治史1 はじめに/政治の大動乱期だった昭和という時代 戦後から昭和にかかる半世紀の日本の政治は、平成令和の現代からは想像もつかない動乱期だった。日本は、世界戦争とその敗戦をへて、アメリカによる占領と独立、ソ連の共産主義運動と中国革命、朝鮮戦争と米ソ冷戦という日本史上、空前絶後の危機の時代をつきすすんできた。 危機の構造は、体制の危機でもあって、戦後、日本が、国家解体の危うきに瀕したのは、第二次世界大戦の性格上、いわば、必然的なりゆきだった。 日本がたたかった英米や旧ソ連、中国は、革命国家で、第二次大戦は、伝統国家と革…
中近世史としたが、何となく歴史を扱っているような本を纏めた。祖母は学術書を買うような人ではなく、学者の書いた本から作家、それから得体の知れない団体の纏めた雑学知識のような本まで買っているが、区別している余裕がないので一纏めにして置いた。 ・岩波新書(新赤版)277 高橋英夫『西行』1993年4月20日 第1刷発行・1993年5月14日 第2刷発行・定価563円・岩波書店・245+2頁西行 (岩波新書)作者:高橋 英夫岩波書店Amazon※ 帯あり「花を愛で,漂白の人生を送る・・・/伝説の歌人の心に迫る!/岩波新書/最新刊」裏表紙側折返しは『広辞苑』第四版の広告、『武家と天皇』と色違い。 ※ 栞…
この作品には、思い出が二つある。時系列で言うと逆になるが、どうしてもこの順番で書かなくてはならない。 ひとつは、学部、大学院の指導教官の話。この方は、それなりに名の通った研究者であり批評家でもあって、全盛期の頃は多くの文学者と交流があった。私たちはその話を聞くのが楽しみだった。保田與重郎、三島由紀夫、中上健次、開高健、江藤淳、佐伯彰一、村松剛、篠田一士、日沼倫太郎……その他にもたくさんあった。 私はそのなかで、批評家として篠田一士と日沼倫太郎の書く物を愛し、尊敬した。それは指導教授の前では絶対に言えないことであり、おそらくこの先も言うことはないだろう。意外に嫉妬深い人でもあるから。 村松剛の妹…
1850年 曾祖父・八三郎生まれる。 1855年(安政2)内ノ子騒動 1866年(慶應2)奥福騒動 1894年(明治27)父・好太郎生まれる。祖母はフデ。 1902年(明治35)母・小石生まれる。 1914年(大正3)20歳の父と12歳の母が結婚。 1919年(大正8)祖父この頃死ぬ。数え五十歳。 1923年( 12) 姉・一生まれる。 1924年4月24日、好太郎、明智新六らと大瀬革進会を結成、総選挙で窪田文三を応援と決定する。(史料愛媛労働運動史4巻、124p、愛媛新報) 1929年(昭和4)長兄・昭太郎生まれる。? 次兄・清信生まれる。 1933年、姉・重子が生まれる。 5月15日、伊丹…
次作の創作ノートに書き込むことが多すぎて、ちょっと工夫が要るようになった。引き写し項目がいちばん多い「南北朝編年史」を本のままベースにして、その他の資料はノートへ落とし込み、「南北朝編年史」とノートを併用していくことにする。この「南北朝編年史」は大した労作で、引き写すだけでも一、二年はかかりそうで、土砂降りの中でやっていた古本市でこの本と高柳光壽の「改稿 足利尊氏」に出遭ったことが次作を書こうという動機になった。その何年か前に「太平記」の現代語訳や村松剛の「帝王後醍醐」を読んでいて、何となく手をひかれているような感じはあったのだが。楠木正成関係の本は向こうからトビウオのように飛び込んでくる。 …
最近は、古書展自体にあまり行けていない。むしろ、ヤフオク、メルカリ、マケプレなどで買ってしまっている。とりわけ最近の学術書などはやっぱりメルカリなどで狙う方が効率が良い。4月からまた新しく仕事も始まりバタバタとしているというのもあるが、交通費かけて不急不要の場所をとる本を経済的に余裕もないのに買っても仕方がないだろうというようなところもある。とはいえ、やはり古書展出ないとまず見つけることのできないような資料もあり、実際に手に取りながら古書漁りをすること自体が楽しいということもあり、やはり古書展に行かなくなるということはないのだろうなあと。 まずは先週のぐろりや会古書展での買い物と、日本の古本屋…
谷崎潤一郎は、松子と結婚してからは、大坂の陣では豊臣びいきだった。それは、松子が豊太閤びいきだったのと、谷崎の先祖が近江出身だと分かり、石田三成に共感していたからで、「春琴抄」の春琴と佐助の関係は、淀殿と三成を模したものであろう。 しかし谷崎は、幕末の政治については、何も言っていない。東京人としては、徳川方に与したいところだろうし、弟子の舟橋聖一は「花の生涯」で井伊直弼を義人として描いており、谷崎存命中に大河ドラマにもなっているが、谷崎は何も言っていない。しかし、東京へ出る途中、彦根で井伊家の別邸だった八景亭に泊まったこともあるし、井伊直弼びいきだったのではないかと私は思っている。 というのは…
初の伝記 星4つ、2023/04/24 これまで村松剛にはちゃんとした年譜すらなかったが、初の伝記として価値がある。しかも、イスラエルの立場に反共ということで同調してしまう村松へも批判的で、なあなあ伝記になっていない。三島由紀夫の同性愛を否定したのも、遺族への配慮とされているが、いいこととは思われない。しかし結婚については二度結婚したことが書いてあるが最初の結婚がいつかすら分からないのは、遺族に取材しなかったからだろうが、これは遺族に取材すると批判的なことが書きづらくなるからだろう。書簡や日記も用いてはいない。立教大を辞職した事件について、他の著者の本にゆだねているが、これも書いておくべきだと…
どこかで読んだ新書リストが挙がっていたので、自分もリスト化してみたいと思った。覚えてないのやどうでもいいのも含まれている。 岩波新書 非ユダヤ的ユダヤ人|I.ドイッチャー 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍|大木毅 ユーゴスラヴィア現代史|柴宜弘 魔女狩り|森島恒雄 パレスチナ〔新版〕|広河隆一 香港―過去・現在・将来|岡田晃 ルポ 貧困大国アメリカ|堤未果 日本人の英語|マーク・ピーターセン 知的生産の技術|梅棹忠夫 写真の読みかた|名取洋之助 日本の思想|丸山眞男 歴史とは何か|E.H.カー インドで考えたこと|堀田善衞 やさしさの精神病理|大平健 講談社現代新書 世界史の中のパレスチナ問題|臼杵陽 …