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対戦車榴弾

一般

対戦車榴弾

たいせんしゃりゅうだん

化学エネルギーにより装甲貫通を狙った砲弾。構造上榴弾に分類されるが範囲攻撃には適さない。主に成形炸薬弾粘着榴弾の2種がある。

成形炸薬弾(High Explosive Anti Tank/HEAT)

成形炸薬弾はモンロー効果及びノイマン効果により装甲を貫徹する砲弾である。

円錐状の窪みを付けた炸薬を燃焼させると、爆発の威力が窪みの中央部に集中する(モンロー効果)。また、その窪みに薄い金属の内張りを施すと、蒸発した金属が重いガスの流れ(メタルジェット)となって噴出する(ノイマン効果)。これにより1点に通常砲弾の5〜7倍にもなる高速の金属を叩き付け穿孔する。

また、穴からは高温の燃焼ガスが流れ込み機材や乗員を損傷する。


運動エネルギーに拠らないため低初速でも利用可能な利点があり、対戦車ミサイルなどに利用される。但しメタルジェットは発生点から数十cm程度で拡散し効果がなくなるため、装甲の周囲に薄い金属板や金網などを装備したり(シュルツェン)装甲を2重化して隙間にガスを拡散させたり(スペースドアーマー)することで無力化される。

  • 派生

HEAT-MP?
弾頭に破片を生じる金属ケースを用いたもの。周囲に散弾効果をもたらす。陸上自衛隊の120mmTKG対戦車榴弾JM12A1などがこれにあたる。M830A1*1のように、近接信管を装着し対ヘリコプター能力を持つものも存在する。
自己鍛造弾?
HEATの窪みを浅くし、ライナーに厚みのある金属板を用いたもの。爆発により金属板がAP弾と似たような形状に変形し、高速で飛翔する。

粘着榴弾(High Explosive Squash Head/HESH)

薄い弾殻に炸薬を充填し、信管に短延期または無延期信管を用いたもの。

着弾すると装甲表面へ貼り付くように変形してから爆発、その衝撃で装甲裏面を剥離飛散させる(ホプキンソン効果)。表面は貫徹しなくとも内部で破片が高速で跳ね回り、機材や乗員に被害をもたらす(スポール破壊)。


ただし、ホプキンソン効果は単一素材でできた装甲板上で起爆したときにのみ発生するため、複数の素材を用いる複合装甲を使用した戦車では、装甲素材の違いによって衝撃波が内部に伝播しないため、効果が薄い。また、装甲に単一素材を用いた旧世代戦車でも、装甲内面にケブラー等の丈夫な素材でできた「内張り」を貼り付けるだけで装甲の剥離破片を防御できるため、そのような改修が行われた戦車の乗員の殺傷は期待できない。


なお、陸上自衛隊でもかつては74式戦車用の砲弾としてHESHを保有していたが、着弾時に弾頭が変形する特性のため不規則に跳弾する傾向があり、ついには演習場外へ飛んでしまったため、今では製造すら行われていないらしい。