毎号贈っていただく都立大大学院編集・発行の『論樹』の最新号をありがたく落掌した。今号は今までになく論者が多くて5名の論文が収録されている。 教員の大杉重男さんが大江健三郎と岩野泡鳴との対照を論じているのが好もしい。他は表題からすると倉橋由美子の「少女」を、あるいは藤枝静男の天皇(制)を論じていて手堅さが感じられる。長い巻頭論文は「蛇足の文学史ことはじめ」という表題で、副題の「性・風呂場・温泉」を語っているようながら、一時流行った(安智史さんが書いていたのを覚えている)温泉への言及に新味があるのか関心のある人は一読しなければなるまい。もう1本はファンタジー柏葉幸子「帰命寺横丁の夏」論とのこと。 …