20世紀末から21世紀の日本でアレクサンドロス研究を担ってきた森谷先生は最近大王に関する史料の邦訳をまとめて単行本に出したり、東征路の実地検分を元にイランでの遠征路などを復元しようとするなど、様々な活動を展開しています。そうした活動の一つとして、これまで紀要にて発表してきたディオドロス17巻の訳と註もあります。それが遂に単行本として刊行されました。 アレクサンドロス大王の研究ではローマ時代に書かれた文献にも依拠しながら研究を進めざるを得ないというのが実情です。主要史料として利用可能な大王伝としては、かつては「正典」とみなされてきたアッリアノスについては大牟田章先生による膨大な註のついた邦訳とそ…