明治23(1890)年11月29日、第1回帝国議会が始まった。現在まで続く議会主導による国家統治のスタートである。ただし、現在のように両議員の全議員が選挙によって選ばれたわけではない。選挙によって選ばれるのは衆議院議員のみであり、もう一方の議会である貴族院は選挙の洗礼を経ることがない。 また、衆議院議員は選挙で選ばれるといっても、その選挙に投票できるのは現在と違い、25歳以上、男性、直接納税15円以上というごく一部の人しか投票できない制限選挙である。この時代の15円は現在の60万円から70万円に相当する。現在の感覚で行くと年収1000万円以上でなければ選挙に一票を投じることができないといったと…