鴻上尚史による戯曲。
劇団「第三舞台」の旗揚げ作品であると共に、鴻上尚史の処女作品。
第三舞台ではこの作品を計6回上演(純粋再演を除く)しており、その都度内容は当時の世相に沿う形で書き換えられている。
物語は、玩具メーカー「立花トーイ」の世界と、ベケット「ゴドーを待ちながら」を下敷きにした世界の2つを行きかう。キーワードとなるのは、立花トーイ社長の娘として描かれる、舞台に登場しない一人の女性「みよこ」。「みよこ」の存在を軸に、すさまじい勢いで5人の登場人物がこの2つの世界を駆け巡る。
そこらじゅうにちりばめられたギャグの数々と、ハイペースで進む芝居のテンポ・疾走感、そして戯曲全体に悠然と鎮座するテーマの「重さ」に観客は度肝を抜かれた。「コンテンポラリーな表層感覚と問題意識が混在した重層的な劇世界」と評されたことも。第三舞台は活動の節目節目にこの作品を起用、名実共に代表作としての存在感を示した。また、この作品と2作目・3作目にあたる「宇宙で眠るための方法について」「プラスチックの白夜に踊れば」(後の「スワン・ソングが聞こえる場所」)の3作を、鴻上自ら「核戦争三部作」と称している*1。第三舞台として初めて戯曲集が発売された作品でもあり、以後現在まで多数の劇団でこの戯曲が上演されている。
※役名の後にあるカッコは、第三舞台公演にてその役を演じた俳優名。
朝日のような夕日をつれて NEW VERSION―鴻上尚史第一戯曲集
その他、以下のタイトルにこの作品が収録されている。