「隠そう隠そうとしてあまり御前へ出さずに 陛下をお悩ましするなどということはけしからんことだ」 と源氏は言って、 帝へは 「私の所にも古い絵はたくさんございますから 差し上げることにいたしましょう」 と奏して、 源氏は二条の院の古画新画のはいった棚をあけて 夫人といっしょに絵を見分けた。 古い絵に属する物と現代的な物とを分類したのである。 長恨歌、王昭君などを題目にしたのは おもしろいが縁起はよろしくない。 そんなのを今度は省くことに源氏は決めたのである。 旅中に日記代わりに描いた絵巻のはいった箱を出して来て 源氏ははじめて夫人にも見せた。 何の予備知識を備えずに見る者があっても、 少し感情の…