『一日一生』酒井雄哉著(朝日新書, 2008年) ― 言葉が人を支えてくれる ― この度の能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 今日紹介する本と僕の出会いは、東日本大震災の時の福島県南相馬市の避難所でした。僕は医療チームの一員として避難所となった体育館を巡回していました。その頃は、すでに急性期は過ぎて、避難所はある程度落ち着いていました。食料や必需品を運ぶ人以外に、歌や踊りで励ます芸能関係の人や、体力を回復させるための運動を促す人、精神面をフォローする人が入れ替わり立ち代わり来ていました。本を持ってくるボランティア団体…