大門作品五作目は、検事と検察事務官の心理的葛藤を描いた「テミスの求刑」 田島亮二は津地検のエース検事で、東海最強の割り屋と言われる自供を引き出す名人検事。そんな最強検事が、かつて取り調べて自供させた事件の犯人が、獄中で自殺。父親が人殺し検事という抗議の電話を受けたのが事務官の平川利菜。平川は田島を尊敬しているが一抹の不安を覚える。なぜなら、その事件で殺された被害者は、平川の父親であったのだ。平川は加害者とされた沢登健太郎の父親に会いに行き、父親に健太郎は獄中で自殺し、最後まで無実を訴えていたといわれる。平川は健太郎の裁判で、死刑を望むと訴えていたのだ。 そうした中、健太郎を弁護した黒宮弁護士が…