序文・猿田彦神の居場所 堀口尚次 猿田彦神社は、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮の近くにある神社である。猿田彦大神(サルタヒコノカミ)と、その子孫の大田命(オオタノミコト)を祭神とする。旧社格は無格社〈社格がないという意味ではなく「無格社」という社格〉で、第二次世界大戦後は別表神社(べっぴょうじんじゃ)となった。 日本神話によれば、猿田彦神はニニギの天降りの先導を終えた後、伊勢の五十鈴川の川上に鎮まった。『倭姫命世記(やまとひめのみことせいき)』によれば、その子孫の大田命は天照大神を祀る地として倭姫命に五十鈴川川上の地を献上した。大田命の子孫は宇治土公(うじのつちぎみ)と称し、神宮に玉串大内人として…