《ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか》 考えをそうとう巡らせたあげく、結局こうしたありふれた文言が浮かんできて、それをツイートしてしまうのは、私には毎度のことなのだが、しかし上記は私のつぶやきではない。 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』第1部「泥棒かささぎ編」の2「満月と日蝕、納屋の中で死んでいく馬たちについて」の冒頭だ。ーーそれにしても、タイトルもサブタイトルもやけに長くてよくわからないわりにとても具体的でいいね。 『風の歌を聴け』の冒頭がやはり思い出される。 「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね…