『角』は奈良「角」の会編集、鹿鳴荘発行。天理時報社印刷。昭和33年7月発行の第3号は32ページ。表紙は棟方志功。奈良ゆかりの人物が1ページづつ随筆を書いてゐる。 松本楢重は春日大社のリンゴの木のこと、蓮實重康は自身の小用譚。前川佐美雄は名前を川田順に馬鹿にされた思ひ出話。 保田與重郎は「きもの」。「衣服の窮寛の度合は、民族の将来の体位にも影響する」と、民族にとって衣服の重要性を指摘。背広にネクタイ、ワイシャツ姿を好かないといって、保田が独自に考案した服を解説してゐる。背筋のくりを後ろへ抜いたのが自慢だといふ。着物のやうな形だらうか。ボタンの代はりにチャック。カラーは支那服のもの。各地の服を組み…