奴隷意志論

読書

奴隷意志論

どれいいしろん

(羅:De servo arbitrio ,英:On the Bondage of the Will ,独:Über den geknechteten Willen)

1525年末に発表されたマルティン・ルターの著作。デジデリウス・エラスムスの『自由意志論』に対する反論として著された。

初期の宗教改革は、人間の知性に信頼をおく人文主義的な要素と結びついていた。そのため、ネーデルラント人文主義エラスムスと、宗教改革の推進者ルターの間には親交があった。しかし、ルターが聖書至上主義的な姿勢を強めるにつれて、人文主義者の主張と距離を生じていった。エラスムスは、1524年に発表した『自由意志論(De Libero Arbitrio)』において、人間の自由意志楽園からの追放原罪の後にも残されていると主張したが、ルターはこの主張に反論し、翌1525年末に『奴隷意志論』を著した。彼によれば、人間の自由意志とは罪を犯させるだけのものであり、自由意志に基づく努力により神の救済?が得られるのは誤りである。そして、ただ神の恩寵?と憐れみによって人間は救済されるとする。この一連の論争により、宗教改革人文主義の間の亀裂は決定的なものとなった。