以前「世界の鍼灸事情」について中国、韓国の歴史、制度などを書きましたが、日本の鍼灸事情について述べてみます。 鍼灸は、今から二千年以上前に、古代の中国で誕生しましたが、日本への伝来は、飛鳥時代6世紀半ばに朝鮮半島から伝えられたと云われています。その後701年の『大宝律令』が制定され、律令制度の整備の中で、鍼博士、鍼生といった官職が鍼灸を扱う医療職として設けられました。 日本で初の医学書は、平安時代808年に成立した『大同類聚方』(だいどうるいじゅほう)です。平城天皇の命をうけ安倍真直、出雲広貞らにより、日本固有の医方を総集したものですが、原本を忠実に伝えるものは現存されておりません。偽本も多く…