ここんとこ南木佳士さんの小説やエッセイばかり読んでいる。 愛猫トラとの日々を綴った私小説「トラや」を通勤の車内で読み終えた。 捨てられていた子猫を拾いトラと名づけた。 病気になったり骨折したり、飼い主が精神を病んだりして、互いを慰め合って過ごした。 夫婦仲、子供との仲が気まずくなっても… 「トラはいつの間にか一家統合の要になっていたのだった」とある。 長年ともに暮らした愛犬愛猫(ペットという呼称は使いたくない)との永遠の別れは どの小説やノンフィクションやコミックを読んでも涙を誘う。 谷口ジロー「犬を飼う」や東良美季「猫の神様」の晩年の描写はたまらない。 特に老いて衰え、虚ろな目で飼い主を見つ…