徒然草で兼好法師は、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」と綴っている。「花は満開のときだけを、月は雲がないときだけを見るものであろうか、いやそうではない。」と喝破しているのです。この背景には、往古より「月は雲なきをのみ見る」ことを良しとし、切望していたということがあります。これに異議を唱えたのが、百人一首をご存じの方も多いのではないでしょうか、平安時代後期に活躍した藤原彰輔(あきすけ)がこう詠っています。 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の かげのさやけさ 藤原顕輔(あきすけ) 月を待ち望むも雲に覆われてしまい落胆している中で、わずかな雲間より「もれいづる」月かげ(月の光…