山門は葷酒が入るのを許さなかつた。 葷は匂ひのきつい野菜…葱や韮、大蒜などの意。 入山が禁じられたのは、曖昧な記憶で云ふと、愛慾を刺戟するとか、そんな理由だつたと思ふ。この場合の愛慾は、性愛に近しい響きを持つ。即ち同性愛。わざわざ入ツテハナラヌと宣するくらゐだもの。 ・山門では…少くとも一部の…同性愛が盛んだつた。 ・葷は愛慾に効果がある…関連すると考へられてゐた。 ・或はたいへん旨いと認識されてゐた。 かう推察出來る。同性愛に就てはまあ、漠然とした印象しか持たないし、佛教がそれをどう受け止め、受け止めてゐるかも知らないから、上の二つは省くとして、葷が旨いのは、間違ひない。禁制になつたのは愛慾…