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徳永信一

一般

徳永信一

とくながしんいち

日本の弁護士。徳永総合法律事務所所長。大阪弁護士会所属。

概要

1958年大阪府生まれ。京都大学法学部を卒業後、第40期司法修習を経て1988年に弁護士登録。1993年に塩野・徳永総合法律事務所を開設し、現在に至る。

日本の弁護士の中でも思想的に最右派に位置する人物の一人であり、右派陣営の代理人弁護士として歴史認識問題や靖国問題など政治思想が絡む事件を数多く手がけている。近年は在日韓国朝鮮人に対する排外的主張で物議を醸している右派系市民団体在日特権を許さない市民の会」(在特会)・「主権回復を目指す会」(主権会)・「チーム関西*1に所属する活動家らの代理人を務めていることでも知られる。

また長年に渡って薬害エイズ薬害肝炎などの薬害事件に取り組んでおり、患者救済のために尽力している。

取り扱った主な事件・裁判

政治思想関係

靖国神社参拝違憲訴訟
小泉純一郎首相(当時)による靖国神社参拝は政教分離原則に反する違法なものであり、それによって宗教人格権を侵害されたとして各地で提起された損害賠償や参拝差し止めを求める訴訟のうち、靖国神社被告に加えていた訴訟に関して同神社を支援するため、稲田朋美(現自民党衆議院議員)・松本藤一両弁護士と共に被告側への補助参加を申し立てた。申立ては却下されたが、原告らによる靖国神社への訴えも棄却・却下された。
藤岡信勝ジー・オーグループ宣伝事件
自由主義史観の代表的論者として知られる藤岡信勝東大教授(当時)が、投資詐欺事件を起こしたジー・オーグループの研修ビデオや勧誘冊子に歴史教育に関する講話や論文を寄せ、その中で同グループ経営者を賞賛していた問題に関して、著名人である藤岡の行為によって同グループによる詐欺が容易になったとして、被害者らが藤岡に損害の一部を賠償するよう求めた事件。徳永は藤岡弁護団のメンバーとして訴訟に携わった。東京地裁は審理の結果、藤岡の行為によって投資の信用性が高まったことは確かだが、藤岡には投資内容の詳細な吟味・検討をすべき義務まではなく、損害の発生は予見できなかったとして被害者らの請求を棄却した。
足立十六中事件展転社裁判
足立区立第十六中学校(現在の区立千寿桜堤中学校)に勤務していた社会科教諭が左派的な偏向教育を行っているとして、土屋敬之古賀俊昭田代博嗣各都議が「こんな偏向教師を許せるか!」と題した著書を展転社から出版したのに対し、教諭が名誉毀損プライバシー侵害にあたるとして三都議と展転社損害賠償などを求めた事件。徳永は三都議・展転社側の主任弁護士を務めた。東京地裁は教諭側の請求を一部認めたが、東京高裁最高裁は正当な論評の範囲内であるなどとして教諭側の請求を棄却した。
大学入試センター試験歴史認識訴訟
2004年に実施されたセンター試験世界史日本史科目で「大日本帝国による朝鮮人の強制連行」を正答とする設問と「マルクス主義による社会分析の成果としての日本資本主義発達史講座」を正答とする設問が出題されたところ、反共右派思想を有する受験生らが当該設問への解答によって精神的苦痛を受けたとして大学入試センター損害賠償を求めた事件。徳永は受験生らの代理人の一人として訴訟に携わった。東京地裁は審理の結果、上記設問は検定教科書の大半に記載された歴史学上の知見を問う問題に過ぎず、特定の思想や歴史認識を強いるものではないから、具体的な権利の侵害があったとまでは言えないとして受験生らの請求を棄却した。
大江健三郎岩波書店沖縄戦裁判
大江健三郎が著書の中で大日本帝国軍指揮官(当時)2名が沖縄戦において住民に自決を命じたと指摘したことに対し、元指揮官とその遺族が捏造による名誉毀損であると主張して損害賠償や著書の出版差し止めを求めた事件。徳永は元指揮官側弁護団で松本藤一弁護団長に次ぐ中心人物として活動した。大阪地裁は審理の結果、自決命令が真実であると断定することまではできないものの、命令があったと判断する合理的な根拠は存在するとして元指揮官らの請求を棄却。後に控訴・上告も棄却され、元指揮官側の敗訴となった。
朝鮮総連施設固定資産税減免取消訴訟
朝鮮総連の関連施設に対する固定資産税を減免していた大阪市京都市神戸市などの自治体に対し、「救う会大阪」の増木重夫代表(元在特会関西支部長)主導の下、西村斉在特会京都支部長(当時)・中谷辰一郎主権会関西支部長(当時)らの代理人として、固定資産税減免措置の取消を求める行政訴訟を提起した。一部の訴訟は不適法却下となったものの、いずれの訴訟でも「地域住民や在日朝鮮人一般に使用されている施設ではない」などとして減免措置を違法とする判断が示されており、実質的な勝訴となった。
京都朝鮮学校公園占用抗議事件
在特会・主権会・チーム関西活動家らが京都朝鮮第一初級学校による勧進橋児童公園の不正占用に抗議するとして、同校校門前でヘイトスピーチを含む怒号を上げ、後日京都市内で同内容のデモを行った事件。徳永は威力業務妨害容疑などで起訴された中谷辰一郎の刑事弁護人を務めると同時に、朝鮮学校側から起こされた民事訴訟在特会本部と西村修平主権会代表ら事件関係者9名の代理人を務めている。刑事裁判では正当な政治的表現行為であるとして無罪を主張し、最高裁まで争ったものの懲役1年・執行猶予4年の有罪判決が確定。民事訴訟は現在も審理が続けられている。
高金素梅靖国デモ事件
台湾国会議員である高金素梅が来日時に反靖国神社を掲げたデモを開催し、同神社内で職員らとトラブルを起こした事件に関して、西村眞悟(現日本維新の会衆議院議員)・三宅博(同)らの代理人として礼拝所不敬罪などで高金に対する刑事告訴告発を行った。高金は後に書類送検されたが、東京地検不起訴処分とされた。
パンドラの箱」掲載拒否訴訟
作家の上原正稔が琉球新報で連載していた記事の一部を掲載拒否されたのは、集団自決軍命説を否定する記事内容を琉球新報が嫌ったからだと主張して、債務不履行などに基づく損害賠償を請求した事件。徳永はほぼ無報酬で上原の主任弁護士を引き受けた。那覇地裁は審理の結果、本件は歴史認識の違いを理由とした掲載拒否ではなく、前回連載の引用が大部分を占める連載序盤の原稿を読んだ琉球新報が今後も同様の引用が続くおそれがあると判断し、当該部分の掲載と原稿料の支払を拒否したというものであり、その判断は合理的な理由に基づくものであるとして、上原の請求を棄却した。上原は控訴し、現在控訴審での審理が続けられている。

薬害関係

薬害エイズ事件大阪訴訟
HIVに汚染された非加熱製剤を投与されたことでエイズ感染したとして、患者や遺族らが製薬会社と国に損害賠償を求めた事件。徳永は原告弁護団のメンバーとして訴訟に携わった。事件は提訴から7年後に和解が成立している。
薬害肝炎訴訟
C型肝炎ウイルスに汚染された非加熱製剤を投与されたことでC型肝炎感染したとして、患者や遺族らが製薬会社と国に損害賠償を求めた事件。徳永は関西・九州東京名古屋など各地で提起された訴訟原告弁護団に加わった。その後訴訟を受けて特措法が成立し、現在は和解手続が進められている。

*1:内外情勢の回顧と展望(平成23年1月、http://www.moj.go.jp/content/000060342.pdf)60ページ参照。