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特別養子

一般

特別養子

とくべつようし

幼子を実子と同様に養育できるように創設された養子制度。「特別養子縁組」と呼ばれることが多い。児童福祉のための養子縁組の制度で、様々な事情で育てられない子供が家庭で養育を受けられるようにすることが目的。

これに対し、従来の養子は普通養子と呼ばれる。

普通養子縁組の場合、戸籍上、養子は実親と養親の2組の親を持つことになるが、特別養子縁組は養親と養子の親子関係を重視するため、養子は戸籍上養親の子となり実親との親子関係がなくなる点で普通養子縁組と異なる。

なお、里親制度と養子縁組が混合されがちであるが、里親委託は里親が(実親の生活が安定するまでなどの)一時的に子どもを養育する制度であり、里親子ども戸籍上の繋がりは発生しない点が養子縁組とは異なっている。 

以前の普通養子は、戸籍から養子であることや実親が分かってしまい、完全に自身の子として養育したいと思う養親や、私生児の子を持つことを隠したい実親にとっては不都合な制度であった。そのため、養子制度を用いることなく最初から養親の実子として虚偽の出生届を出す、いわゆる「藁の上からの養子」が増加した。この問題が社会に大きく取り上げられるきっかけとなったのが、「菊田医師事件」である。産婦人科の菊田医師は、堕胎のため来院した女性に対し生命の尊さを切々と語り、堕胎を思いとどまらせる一方で、そのことによって親子が不幸とならないよう、養子縁組の斡旋を行った。更に、普通養子制度の下では安定した親子関係が築けないと考える菊田医師は、養親の嫡出子として届出ができるよう虚偽の出生証明書を作成した。それは実親の戸籍に出生の記載が残らないよう、また養子であるとの記載が戸籍に残らないよう、そして養親が実子のように養子を養育できるように配慮したためであった。このようにして中絶から救われた子は200名を超えるが、その行為は当然違法行為であって、菊田医師は刑事訴追されることとなった。当初争う姿勢を見せた菊田医師は、斡旋先の家庭の平和を守るためにと言って罰金20万円の略式命令に服した。しかしこの事件を契機に、法律に違反しながらも200名以上の子どもの命を守ったことへの賛同の声が巻き起こり、実子として養子を育てたいと考える養親や、社会的養護の下に置かれる子どもが社会的に認知され、要望に応える法的制度が必要だという機運が高まった。この事件は立法を促すこととなり、1987年民法改正によって特別養子縁組が導入され、翌年に施行され、特別養子制度の創設に至った。

特別養子縁組が必要な背景

特別養子縁組が必要とされる背景としては、中絶児童虐待虐待死から子供を守るセーフティーネットとしての観点、施設養護に代わる手段としての観点(施設よりも養父母の元で育てられると乳幼児の発育に良い影響を与えるという研究報告がある)などがあげられる。

担い手

特別養子縁組の成立には、養子と養親のあっせんが不可欠であり、その仲介は児童相談所と民間あっせん事業者、医療機関が担っている。

民間事業者は全国に15団体。種類の内訳は、任意団体社団法人非営利団体となっている。 民間事業者による縁組のあっせん数は2011年度において127件。 2006年の32件と比較して、5年間で約6倍の増加となっている。127件のあっせんのうち、養子の受け入れ先は国内が103件、海外が24件。

民間事業者妊婦や養親のカウンセリングに親身にあたれることが特徴であり、支援団体の中には出産費用の一部援助(なお日本では出産後に出産育児一時金が産んだ子供1人につき42万円が戻ってくるほか、出産時にお金が用意できなくても出産一時金直接支払制度や自治体の入院助産制度を利用すれば、産む時に費用が直接病院に支払われる)や住む場所がない女性のために住まいを提供する団体、障碍者の海外養子縁組などを行う団体などもある。

医療機関は従来、一部の医師会産婦人科医があっせんを行っているのみであったが、2013年9月にあんしん母と子の産婦人科連絡協議会が設置されたことを受け、 担い手としての医療機関存在感は増している。同協議会には、14道府県の計20の産婦人科が参加し、連携して特別養子縁組に取り組むネットワークが形成されている。

国際養子縁組

国際養子縁組とは、国籍の異なる養親と養子との間で成立する養子縁組を指す。

日本国内の法律がないため養子縁組にかかる手続きが比較的容易である等の理由から、養子縁組大国である米国アメリカでは年間12万件の縁組が成立しておりアップルコンピュータ創業者スティーブ・ジョブズ映画監督マイケル・ベイ、俳優のレイ・リオッタなど養子出身の有名人も多い)での受け入れも多い。

海外では日本に比べ障害児の養子受け入れが進んでいる等、国際養子縁組が養子の最善の利益になる場合もある。


特別養子縁組の支援団体・参考資料