原発事故で実家がなくなって「帰省」という言葉が当てはまるかどうかわからないが、親が近隣の施設にいるのだからそう呼んじゃってもいいだろう。実際、周りにはそう話しているし、故郷とは場所より気持ちの方が優先すると思っている。 今回の帰省で、機会があれば行きたいと思っていたのが、作家の柳美里さんが東日本大震災後に鎌倉から南相馬市小高に転居して、2018年から始めた書店「フルハウス」である(翌年からブックカフェに)。常磐線のいわきー原ノ町間は電車の本数が少ないうえに、予約した宿とは逆方向。18歳あたりまで浪江に住んでいたが、小高で下車したことがない。当時は友人が住む町の駅か、浪江よりも栄えている原町市(…