藤立紘輝さんの論文「日野政資考」(「皇學館論叢」56:3)を読みました。私は専門外でもあり、この時代には詳しくもなく、また従来、日野政資のまとまった伝記はなかったようなので、本論文の内容のいちいちの当否についてはここで判断は出来ません。しかし先行研究はもとより、史料を博捜し、当時の政治情勢を総合的に見渡して書かれた労作です。注が多すぎる(計20頁に注は132まであり!)など、整理の工夫が欲しいところもありますが、力作であることは間違いないと思います。 日野政資(1469-1495)は、足利義政の正室日野富子の兄勝光の嫡子、若くして亡くなっていますが、足利将軍の側近の中でも軍事や儀礼に関する重い…