直筆の行き交ふ時代うららけし取りかへせない投函ひとつ春の宵立春やズレて固まる切手かな左四つ全盛時代冴返る下級生来て卒業の羽根胸元にバレンタインデー先に舟唄歌はれるビー玉の溜まる窪みや春浅し下請けの下請け直に梅の花濃密なとき経て疎遠朧かな(自由俳句風薫2024.2月) 手紙を投函することと結婚することは、完全にロマンティックな事柄として、今残された数少ないものである。ある物が完全にロマンティックであるためには、取り返しがつかないということがどうしても必要なのだ。(G.K.チェスタトン「異端者の群れ-HERETICS」) ─この原題のHERETICの字面ですぐ浮かぶのは「エクソシスト2─HERET…