フォークナーはアメリカ文学を代表する小説家であり、『響きと怒り』(The Sound and the Fury, 1929) や『アブサロム、アブサロム!』(Absalom, Absalom!, 1936) など多くの傑作を残しているが、訳者はかねてより、最初に読むフォークナー作品としては『八月の光』を勧めている。本書は、フォークナーが故郷ミシシッピ州の小さな町をモデルにして生涯書き継いでいった「ヨクナパトーファ・サーガ」の1冊だが、主要人物は全員「よそ者」であり、予備知識は不要である。また、難解という印象が強いフォークナー作品の中で、本書は例外的に読みやすいものとなっている。モダニスト的な実…