1925年(大14)改造社刊。当時、内務省の検閲により発禁図書とされた。このデジタルコレクションではかつて発禁本として保管されていたものを公開している。数カ所で風俗紊乱的表現と指摘された個所には朱筆の跡が残っている。下記にも一部引用したが、当時としてはかなり踏み込んだ赤裸々な表現があり、煽情的と見なされ、版の改訂を余儀なくされたらしい。当初は朝日新聞に連載されていたが「接吻」というタイトルからしても非常に大きな評判を呼び、映画化や舞台化もされた。 代議士邸に居候する大卒の会社員村川は、ふとした事から邸内に寄寓する倭文子(しづこ)に恋情を抱く。しかし代議士令嬢の高慢で勝気な京子も村川を愛し、三つ…