2014年1月30日第1刷発行 汐の恋文 文禄の役で朝鮮に出兵した肥前佐嘉の大名竜造寺政家の家臣瀬川采女に宛てた妻菊子の手紙の入った文箱が船の難破で博多の津に打ち上げられた。漁師がこれを役人に届け出ると、名護屋に在陣中の秀吉がこれを読み、菊子は秀吉から呼出しを受けた。秀吉は菊子の顔を見て、梅北国兼の一揆を思い出し、梅北一族との関係を疑った。菊子は梅北国兼の妻爽子と瓜二つだった。菊子は秀吉の面前で処罰を覚悟で自らの本心を伝えた。生前爽子が語っていた“わたしは愛おしく思う方とともに生きていけるなら、悲しみの涙を流しません”との言葉を伝え、采女を朝鮮から戻してほしいと訴えると、秀吉は菊子の身代わりに…