今朝の内沼手触り,肌ざわり。触覚。そんな視覚以外の感覚をまざまざと喚び起こす読み物がある。そんな読み物に出会うと実に嬉しい。まず,谷崎潤一郎の「美食倶楽部」暗闇の部屋へ通されて女(らしい?)の指で口の中をれろれろと食前のマッサージを受ける。そして究極の美食「火腿白菜(かたいはくさい)」が出てくる。視覚が閉ざされた中で,他の感覚が総動員される描写の見事さ。谷崎潤一郎「陰翳礼讃」 「・・・大きな衝立の前に燭台を据えて畏まっていたが,畳二畳ばかりの明るい世界を限っているその衝立の後方には,天井から落ちかかりそうな,高い,濃い,ただ一と色の闇が垂れていて,覚束ない蝋燭の灯がその厚みを穿つことができずに…