1880年〜1962 札幌生まれ。小説家、翻訳家。 芸術家として新機軸を出したい…、そう希いつつ無軌道な愛欲と放浪の果てに、芥川龍之介・谷崎潤一郎を凌ぐ博識を生かせぬままついに失敗した。晩年20年は失明し、盲目ですごした。 親友山本露葉の子息としてパリで起居を共にした山本夏彦により、「無想庵物語」が出ている。
「川田順自叙伝」とある『葵の女』はタイトルが象徴しているように、自叙伝というよりも、徳川の娘を始めとし、「老いらくの恋」に至る川田の女性遍歴、それも遠回しな「ヴィタ・セクスアリス」と読むこともできる。それは川田が明治十五年に、宮中に近い東京の上流階級に生まれ、一高、東京帝大を経て、大阪の実業界というべき住友に入社する一方で、短歌結社たる佐佐木信綱の竹柏園(竹柏会)に入門し、歌人として明治三十一年創刊の『心の花』同人となる文学環境とも重なっている。 そうした川田を取り巻く環境がこの「自叙伝」の特色であり、そこには明治三十七年に小山内薫や武林無想庵たちと創刊した文芸誌『七人』の同人の女性関係を含む…
もう一編、高田博厚の『分水嶺』(岩波書店、昭和五十年)を参照し、パリの片山敏彦とアランに関して続けてみる。 高田は大正九年に東京外語伊語科を中退し、コンディヴィ『ミケランジェロ伝』(岩波書店、同十一年)を翻訳する一方で、高村光太郎たちと交流し、貧しい暮しの中で、彫刻の仕事を続けていた。また片山敏彦や尾崎喜八たちと「ロラン友の会」をつくり、『近代出版史探索Ⅱ』204などの叢文閣からロランの『ベートーヱ゛ン』『ヘンデル』を翻訳刊行していた。そして昭和六年に作品の頒布会でフランスへの渡航費を捻出し、パリへと向かったのである。 (『ミケランジェロ伝』) パリで高田を迎えたのは昭和四年に渡仏していた片山…
"> ヤフオクにて購入。 『アサヒグラフ』昭和26(1951)年6月13日号 800円永井義憲『一乗の進化 一名一乗立憲主義入門』(憲啓舎・1929年) 100円 畸人一覧 "> 表紙が奈良光枝の『アサヒグラフ』昭和26年6月13日号は特集の「半世紀畸人傳 五十年史」が目当て。「畸人」振りを示す簡単な紹介文があるだけだが、それぞれ写真付きなのがうれしい。収録されているのは以下の人びと。 富岡鉄斎、田尻稲次郎、中江兆民、斎藤緑雨、宮崎滔天、児玉花外、黒岩涙香、林田粋翰長、和田垣謙三、田中正造、淡島寒月、野沢如洋、松崎天民、大町桂月、岩元禎、三田平凡寺、野田大塊、坂本紅蓮洞、国分青涯、竿忠、南方熊…